令和5年度 八王子山王病院 病院指標
各項目に関する集計条件および集計方法は、厚生労働省の指示のもと行われております。
DPCコーディングデータを使用し、下記の項目を算出いたしました。
集計対象
- 令和5年4月~令和6年3月退院患者であり、一般病棟に1回以上入院した患者
- 入院した後24時間以内に死亡した患者又は生後1週間以内に死亡した新生児は集計対象外
- 臓器移植(『厚生労働大臣が指定する病院の病棟における療養に要する費用の額の算定方法の一部を改正する件(令和4年厚生労働省告示第75号)』に規定)は集計対象外
- 医科レセプトのみもしくは歯科レセプトありの患者
※患者数10未満の場合は『-』(ハイフン)
1)年齢階級別退院患者数
年齢区分 | 0歳~ | 10歳~ | 20歳~ | 30歳~ | 40歳~ | 50歳~ | 60歳~ | 70歳~ | 80歳~ | 90歳~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
患者数 | – | 12人 | 14人 | 19人 | 26人 | 103人 | 162人 | 426人 | 601人 | 200人 |
≪解説コメント≫
令和5年度の全退院患者数は1563人でした。そのうち70歳以上の患者さまは全体の約80%を占めております。
高齢化が進む八王子市において、当院では急性期から慢性期と幅広い患者さまの受け入れを目指し日々地域医療に取り組んでいます。
※患者数10未満の場合は『-』(ハイフン)で表示しています
2)診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
診断群分類別患者数等は、各診療科が多く取り扱っている疾患について上位5位までの患者数、平均在院日数、転院率、平均年齢を示しています。
平均在院日数は自院と全国を比較することで効率的に診療を行っているかを評価することができます。
転院率は各疾患ごとの全退院数における他病院への転院患者数割合を示しています。
<内科>
DPCコード | DPC名称 | 症例数 | 平均在院日数 | 転院率 |
平均 年齢 |
患者用 パス |
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---|---|---|---|---|---|---|---|---|
自院 | 全国 | |||||||
1 | 130040xx99x5xx | 多発性骨髄腫、免疫系悪性新生物 | 92人 | 4.37日 | 16.12日 | 0.00% | 75.97歳 | |
2 | 040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 | 83人 | 35.90日 | 21.28日 | 18.07% | 83.75歳 | |
3 | 110280xx9900xx | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 | 34人 | 55.44日 | 11.49日 | 8.82% | 78.74歳 | |
4 | 110310xx99xxxx | 腎臓又は尿路の感染症 | 29人 | 28.52日 | 13.52日 | 0.00% | 83.83歳 | |
5 | 0400800499x00x | 肺炎等(市中肺炎以外かつ75歳以上) | 22人 | 20.18日 | 19.08日 | 0.00% | 87.05歳 |
≪解説コメント≫
内科の症例数第1位は、血液の疾患で、多発性骨髄腫です。多発性骨髄腫の多くは高齢者に多い病気としても知られており、高齢化の影響もあり発症数は次第に増加傾向にあるといわれ、当院でも入院される患者さまが増えています。正常な血液細胞がつくられなくなり、貧血症状として動悸・息切れや、血小板が少なくなるため出血がしやすくなることがあります。
症例数第2位は、誤嚥性肺炎です。特に、高齢や寝たきりの状態に伴う嚥下機能低下により、食物や唾液などの誤嚥によって引き起こされ、また口腔内の清潔が十分に保たれていないことや、栄養状態不良による免疫力低下も発症に関与されているといわれています。
※集計対象が「一般病棟に1回以上入院した患者さま。」となっております。
当院は、”地域包括ケア病棟入院料”及び“障害者施設等入院基本料”を算定している病棟があるため、一般病棟から転床した患者さまも含めた日数で集計されております。それにより平均在院日数が長くなっている症例がございます。
<外科>
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 |
転院率 |
平均 年齢 |
患者用 パス |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
自院 | 全国 | |||||||
1 | 060040xx99x6xx | 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍 | 24人 | 1.17日 | 4.34日 | 0.00% | 63.67歳 | |
2 | 060160x001xxxx | 鼠径ヘルニア(15歳以上) | 10人 | 4.50日 | 4.55日 | 0.00% | 77.80歳 | |
3 | 040081xx97x0xx | 誤嚥性肺炎 | – | – | 36.11日 | – | – | |
4 | 060020xx97x0xx | 胃の悪性腫瘍 | – | – | 13.55日 | – | – | |
5 | 060150xx99xxxx | 虫垂炎 | – | – | 8.02日 | – | – |
≪解説コメント≫
外科の主な症例は、悪性腫瘍(大腸がん)について化学療法や悪性腫瘍を切除する症例です。また、近隣の大学病院との病院連携が図られており、急性期治療を終えられた患者さまの受け入れも行っております。
症例数第2位の鼠径ヘルニアは、慢性的な鼠径部への圧力に加え、加齢による腹壁の脆弱化によって鼠径ヘルニア(いわゆる脱腸)を発症します。当院ではメッシュと呼ばれる人工の網を使用し手術による治療を行っています。
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<整形外科>
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 |
転院率 |
平均 年齢 |
患者用 パス |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
自院 | 全国 | |||||||
1 | 160800xx01xxxx | 股関節・大腿近位の骨折_手術あり | 37人 | 51.68日 | 25.50日 | 21.62% | 84.32歳 | |
2 | 160690xx99xxxx | 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) | 36人 | 40.19日 | 19.34日 | 8.33% | 64.73歳 | |
3 | 160800xx99xxx0 | 股関節・大腿近位の骨折_手術なし・転院以外 | – | – | 14.07日 | – | – | |
4 | 160980xx99x0xx | 骨盤損傷 | – | – | 19.27日 | – | – | |
5 | 070343xx99x0xx | 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 | – | – | 13.92日 | – | – |
≪解説コメント≫
整形外科の症例数第1位は、股関節大腿近位骨折です。骨折の状態や部位により術式が変わり、手術の方法としてはネジやピン等で固定する骨接合術や、人工物に置き換える、いわゆる人工骨頭挿入術・人工股関節置換術を行っております。
多くは、高齢者の転倒による股関節・大腿骨の骨折と胸椎・腰椎の圧迫骨折の患者さまです。年齢を重ねるにつれ骨は脆くなり、わずかな衝撃でも骨折してしまうケースも多く見受けられます。当院では、股関節の骨折の治療に非常に力を入れており、早期手術・リハビリを実施し、患者さまが少しでも早く日常生活に復帰できるよう努めております。
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<脳神経外科>
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 |
転院率 |
平均 年齢 |
患者用 パス |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
自院 | 全国 | |||||||
1 | 160100xx99x00x | 頭蓋・頭蓋内損傷 | 15人 | 6.93日 | 8.38日 | 6.67% | 84.07歳 | |
2 | 030400xx99xxxx | 前庭機能障害 | 11人 | 5.27日 | 4.73日 | 9.09% | 64.73歳 | |
3 | 010060×2990400 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) | – | – | 19.17日 | – | – | |
4 | 010060×2990401 | 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) | – | – | 15.70日 | – | – | |
5 | 010050xx99x0xx | 非外傷性硬膜下血腫 | – | – | 12.63日 | – | – |
≪解説コメント≫
当院の脳神経外科では主に頭部外傷や頭痛・めまいを多く受入てれております。
脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)は、高齢の方に発症することが多く、生活習慣病が危険因子となりやすいと言われております。当院での脳梗塞における治療は薬物療法(抗血小板薬・抗凝固薬・脳保護療法)と、リハビリテーションが中心ですが、カテーテル手術等が必要な場合は、近隣の大学病院や専門病院と病院連携を図り対応しています。また手術後の患者さまの受け入れも行っており、在宅復帰を目指しリハビリテーションも実施しながら、退院後の生活状況を考慮した支援にも取り組んでいます。
※患者数10未満の場合は『-』(ハイフン)で表示しています。
<泌尿器科>
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 |
転院率 |
平均 年齢 |
患者用 パス |
||
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自院 | 全国 | |||||||
1 | 110080xx991xxx | 前立腺の悪性腫瘍_前立腺針生検法 | 25人 | 2.00日 | 2.44日 | 0.00% | 74.16歳 | |
2 | 110200xx02xxxx | 前立腺肥大症等 | 20人 | 9.85日 | 7.75日 | 0.00% | 79.00歳 | |
3 | 110080xx97x3xx | 前立腺の悪性腫瘍_手術あり・化学療法あり | – | – | 21.40日 | – | – | |
4 | 110080xx9903xx | 前立腺の悪性腫瘍_手術なし・化学療法あり | – | – | 11.64日 | – | – | |
5 | 11012xxx02xx0x | 上部尿路疾患 | – | – | 5.22日 | – | – |
≪解説コメント≫
当院では前立腺癌を調べるための前立腺針生検法を行っております。血液検査で「PSA」という検査値が高く、前立腺癌を疑われる方などが対象となります。検査方法は、痛め止めの注射を行い肛門から超音波の管を入れ、前立腺の位置を特定しながら針を刺し組織の一部を取り実際に癌があるかないかを調べる検査になります。
当院における入院期間は検査前後の管理を含め1泊2日で検査を行っております。発熱等の合併症により退院が延期する場合もあります。
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<血液透析科>
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 |
転院率 |
平均 年齢 |
患者用 パス |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
自院 | 全国 | |||||||
1 | 110280xx9900xx | 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 | 10人 | 16.5日 | 11.49日 | 30.00% | 64.10歳 | |
2 | 0400800399x01x | 肺炎等(市中肺炎以外かつ65歳以上75歳未満) | – | – | 18.29日 | – | – | |
3 | 040081xx99x0xx | 誤嚥性肺炎 | – | – | 20.60日 | – | – | |
4 | 050130xx9902xx | 心不全 | – | – | 23.74日 | – | – | |
5 | 160800xx01xxxx | 股関節・大腿近位の骨折 | – | – | 25.50日 | – | – |
≪解説コメント≫
血液透析科の症例数第1位は、慢性腎不全です。慢性腎不全は生活習慣病との関連も深く、透析導入とならないよう降圧剤での血圧管理や、食事療法、症状に応じたお薬等での治療などを行い腎不全進行の予防が必要となります。腎機能の低下により老廃物等を体内からうまく排出できず、末期腎不全になると、血液維持透析が必要となります。
当院では、安定した血液維持透析や、透析困難症や長期透析による様々な合併症を有する腎臓病に対しても血液維持透析を施行しています。当院で治療を終えた患者さまや・状態が安定した患者さまの転院など近隣の病院やクリニックとの連携を図っており転院率は30%となっております。
※患者数10未満の場合は『-』(ハイフン)で表示しています
<乳腺甲状腺外科>
DPCコード | DPC名称 | 患者数 | 平均 在院日数 |
転院率 |
平均 年齢 |
患者用 パス |
||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
自院 | 全国 | |||||||
1 | 090010xx99x80x | 乳房の悪性腫瘍_ペルツズマブ | 20人 | 1.3日 | 3.55日 | 0.00% | 77.00歳 | |
2 | 090010xx99x5xx | 乳房の悪性腫瘍_エリブリンメシル酸塩 | 10人 | 1.0日 | 6.32日 | 0.00% | 85.00歳 | |
3 | 090010xx99x40x | 乳房の悪性腫瘍_パクリタキセル | – | – | 3.51日 | – | – | |
4 | 090010xx010xxx | 乳房の悪性腫瘍_乳房切除術 | – | – | 9.88日 | – | – | |
5 | 090010xx02xxxx | 乳房の悪性腫瘍_乳房部分切除術 | – | – | 5.64日 | – | – |
≪解説コメント≫
乳腺疾患の診断、治療および乳がん検診を行っております。乳がん検診では乳がんの疑いのある方を対象に精密検査を行い、早期の乳がんの発見に努め、乳がんと診断された方には、手術、術前・術後化学療法、内分泌療法、対症療法など、治療を受けられる患者さまに適した治療を行っております。
※患者数10未満の場合は『-』(ハイフン)で表示しています
3)初発の5大癌のUICC病期分類並びに再発患者数
初発の5大癌のUICC病期分類ならびに再発の実患者数を示しています。
「初発」とは、自施設において、当該腫瘍の診断、診断と初回治療、あるいは初回治療を実施した場合を指しています。
「再発」とは、自施設・他施設を問わずに初回治療が完了した後、自施設にて患者を診療した場合や、治療がん寛解後に局所再発・再燃または新たな遠隔転移をきたした場合を指しています。
StageⅠが進行度が低く、StageⅣが最も進行した病気を表します。
初発 | 再発 | 病期分類 基準(※) |
版数 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
I | II | III | IV | 不明 | ||||
胃癌 | – | – | – | – | – |
10人 |
1 | 第8版 |
大腸癌 | – | – | – | – | – | 24人 | 1 | 第8版 |
乳癌 | 26人 | 12人 | – | – | – | – | 1 | 第8版 |
肺癌 | – | – | – | – | – | – | – | – |
肝癌 | – | – | – | – | – | – | – | – |
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
≪解説コメント≫
当院では、悪性腫瘍(癌)の診断・治療(手術/化学療法)を目的とした患者さまの入院も受け入れております。
当院にて対応困難な症例については、適宜、大学病院や希望される専門施設へ紹介を行っております。
※患者数10未満の場合は『-』(ハイフン)で表示しています
4)成人市中肺炎の重症度別患者数等
入院契機病名および最も医療資源を投入した傷病名に対するICD10コード(※1)がJ13~J18で始まるものに限定し、成人(20歳以上)の市中肺炎(※2)の患者さまについて重症度別に患者数、平均在院日数、平均年齢を集計したものです。
重症度は、成人市中肺炎(※2)診療ガイドライン(日本呼吸器学会)による重症度分類システム(A-DROP)(※3)により分類しています。
- ICD10(疾病および関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。(引用元:厚生労働省HP 疾病、傷害及び死因の統計分類)
- 市中肺炎とは、病院外で日常生活をしていた人に発症した肺炎です。肺結核、院内肺炎、日和見肺炎、閉塞性肺炎、嚥下性肺炎、慢性下気道感染症の急性増悪などを充分に識別する必要があります。
- 重症度分類システム(A-DROP)
①男性70歳以上、女性75歳以上
②BUN21以上または脱水あり
③SpO2(酸素飽和度)90%以下
④意識障害(肺炎に由来する)
⑤血圧(収縮期)90mmHg以下
上記5点満点(1項目該当すれば1点、2項目該当すれば2点。…)
軽症=0点の場合、中等症=1~2点の場合、重症=3点の場合、
超重症=4~5点の場合(ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする)
不明=重症度分類の各因子が1つでも不明な場合。
患者数 | 平均 在院日数 |
平均年齢 | |
---|---|---|---|
軽症 | – | – | – |
中等症 | 11人 | 22.82日 | 65.45歳 |
重症 | – | – | – |
超重症 | – | – | – |
不明 | – | – | – |
≪解説コメント≫
肺炎は重症化する危険性が高く、抗生剤を使用した治療を行います。また重症度に比例し入院日数も長くなる傾向にあります。退院後に安心して日常生活を送れるように、入院中は理学療法(運動器や呼吸器療法等)を行っております。その他に、食欲低下から嚥下障害を生じる事も多く、栄養サポートチーム(NST)による回診も行っております。
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5)脳梗塞の患者数等
脳梗塞の病型別の患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を示したものです。また、それぞれ発症から3日以内の入院とその他に分けて集計しています。転院率は病型ごとの全退院数における他病院への転院患者割合を示しています。
ICD10(疾病および関連保健問題の国際統計分類:International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)とは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類です。(引用元:厚生労働省HP 疾病、傷害及び死因の統計分類)
発症日から 入院までの期間 |
患者数 | 平均在院日数 | 平均年齢 | 転院率 |
---|---|---|---|---|
3日以内 | 25人 | 37.6日 | 75.08歳 | 20.69% |
その他 | – | – | – | – |
≪解説コメント≫
脳梗塞が起こり、脳細胞が徐々に壊死すると、その周囲からは有害なフリーラジカル(活性酸素)という物質が発生します。そのフリーラジカルは、まだ壊死していない 回復可能な領域である「ペナンブラ」を破壊します。そこで、フリーラジカルの働きを抑え、脳の障害を防ぐエダラボンという薬を使う『脳保護療法』が行われます。発症後に素早く対応することにより患者さまのQOL(生活の質)の向上に努めております。
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6)診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
診療科別主要手術上位5位の患者数、術前および術後の平均在院日数、転院率、平均年齢を示しています。
転院率は術式ごとの全退院数における他病院への転院患者割合を示しています。
<外科>
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 |
平均 年齢 |
患者用 パス |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | K6335 | 鼠径ヘルニア手術 | 10人 | 0.9日 | 2.6日 | 0.00% | 77.80歳 | |
2 | K664 | 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) | 10人 | 3.5日 | 4.7日 | 90.00% | 83.30歳 | |
3 | K7211 | 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) | – | – | – | – | – | |
4 | K6182 | 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) | – | – | – | – | – | |
5 | K718-21 | 腹腔鏡下虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) | – | – | – | – | – |
≪解説コメント≫
当院の外科手術症例では、消化器疾患を中心に診療をしております。手術においては鼠径ヘルニア手術が最も多く、本来お腹の中にあるべき小腸や内臓脂肪などが、鼠径部の筋肉の弱いところから皮膚の下に脱出して、足の付け根がふくらむ病気です。いわゆる「脱腸」と呼ばれることもあります。成人の鼠径ヘルニアは自然に治ることはなく、薬で治療することもできません。手術は穴をふさぎ、弱くなったところを補強する手術です。
また経口摂取が困難となり長期的・継続的に点滴を行う方へ、高カロリー栄養剤投与のためカテーテルを体内に植え込みカテーテルからの栄養管理(静脈栄養注射)を行う手術も行っています。
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<整形外科>
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
患者用 パス |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | K0821 | 人工関節置換術(股) | 25人 | 11.80日 | 42.48日 | 16.00% | 80.56歳 | |
2 | K0461 | 骨折観血的手術(大腿) | 23人 | 10.43日 | 33.17日 | 17.39% | 84.83歳 | |
3 | K0462 | 骨折観血的手術(前腕) | – | – | – | – | – | |
4 | K0463 | 骨折観血的手術(足) | – | – | – | – | – | |
5 | K0483 | 骨内異物(挿入物を含む)除去術 | – | – | – | – | – |
≪解説コメント≫
当院の整形外科では、高齢者に多くみられる転倒を起因とする大腿骨骨折や四肢等の骨折が大半を占めております。
術後は必要に応じ、在宅復帰に向けての早期リハビリ開始や、管理栄養士による栄養管理や食事内容の検討、医療相談員の介入によるリハビリ病院やその他施設への転院の対応等も行っております。
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<泌尿器科>
Kコード | 名称 | 患者数 | 平均 術前日数 |
平均 術後日数 |
転院率 | 平均年齢 |
患者用 パス |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | K8411 | 経尿道的前立腺手術(電解質溶液利用) | 20人 | 1.00日 | 7.85日 | 0.00% | 79.00歳 | |
2 | K7811 | 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) | – | – | – | – | – | |
3 | K8036イ | 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) | – | – | – | – | – | |
4 | K783-2 | 経尿道的尿管ステント留置術 | – | – | – | – | – | |
5 | K7981 | 膀胱結石摘出術(経尿道的手術) | – | – | – | – | – |
≪解説コメント≫
当院の泌尿器科ではツリウムレーザー治療装置を導入し手術を行っております。
この治療機器は、レーザー照射によりほとんど出血なく前立腺肥大部を蒸散・切除・核出したり、尿路結石を細かく砕石することが可能です。また、抗凝固剤(血をかたまりにくくする薬)を服用中の方にも治療が可能で、身体への負担も少ないことが特徴です。
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7)その他(DIC(※1)、敗血症(※2)、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
医療の質の改善に資するため、臨床上ゼロにはなりえないものの少しでも改善すべきものとして、この表に示す4つの傷病名について、入院契機となった傷病名の同一性の有無を区分して患者数と発生率を示しています。これらの傷病名が全くないとすれば重症な症例を扱っている医療機関としては不自然であり、多すぎることも問題となります。入院契機が異なるものは入院中に基礎となる疾患が重症化したと考えられます。発症率は令和4年4月~令和5年3月の全退院患者に対する発症割合を示しています。
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)とは、さまざまな理由によって血管内で血液凝固系が活性化され、全身的に血管内で血液が凝固し、細小血管に多数の微小血栓(けっせん)を生じる病態のことです。(引用元:病気事典〔家庭の医学〕)
- 敗血症とは、肺炎や腎盂腎炎(じんうじんえん)など生体のある部分で感染症を起こしている場所から血液中に病原体が入り込み、重篤な全身症状を引き起こす症候群です。背景として悪性腫瘍、血液疾患、糖尿病、肝・腎疾患、膠原病(こうげんびょう)といった基礎疾患がある場合、あるいは未熟児、高齢者、手術後といった状態である場合が多いとされています。(引用元:病気事典〔家庭の医学〕)
DPC | 傷病名 | 入院契機 | 症例数 | 発生率 |
---|---|---|---|---|
130100 | 播種性血管内凝固症候群(DIC) | 同一 | – | – |
異なる | – | – | ||
180010 | 敗血症 | 同一 | – | – |
異なる | – | – | ||
180035 | その他の真菌感染症 | 同一 | – | – |
異なる | – | – | ||
180040 | 手術・処置等の合併症 | 同一 | – | – |
異なる | – | – |
≪解説コメント≫
高齢者の感染症は、重症化する事が多く、その加療中に発生する合併症の早期発見に努めています。
また当院では手術や処置の際に起こりうる合併症について、事前に十分に説明を行い、発症が最小限になるよう努めています。
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令和5年度 八王子山王病院 医療の質指標
1)リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが 「中」以上の手術を施行した 退院患者数(分母) |
分母のうち、肺血栓塞栓症の 予防対策が実施された患者数(分子) |
リスクレベルが「中」以上の手術を 施行した患者の肺血栓塞栓症の 予防対策の実施率 |
---|---|---|
102人 | 98人 | 96.08% |
≪解説コメント≫
肺血栓塞栓症はエコノミークラス症候群ともいわれ、血栓が肺に詰まることで呼吸困難や胸痛を引き起こす疾患です。手術後や寝たきりの方に発症することも多く、弾性ストッキングの着用などで適切な予防対策が必要となります。
当院では全身麻酔下で手術を受ける患者さまには、弾性ストッキングやフットポンプを着用し血栓予防を実施しています。手術後も患者さまが早期に安心して歩き始められるように肺血栓塞栓症の予防対策に努めております。
2)血液培養2セット実施率
血液培養オーダー日数(分母) |
血液培養オーダーが1日に 2件以上ある日数(分子) |
血液培養2セット実施率 |
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284人 | 242人 | 85.21% |
≪解説コメント≫
血液培養検査とは、血液中に細菌や真菌などの微生物が存在するかどうか確認するための検査です。血液は通常無菌状態であり感染症を診断する上では非常に重要な検査で、血液培養検査が陽性になることで血流感染の存在を確認することができます。何らかの原因で微生物が血液中に入り込むと、重篤な感染症、敗血症等を引き起こす可能性があります。
血液培養検査は正確な検査をするうえで、『2セット』行うことが診療ガイドラインにより推奨されています。血流感染の原因である細菌や真菌を迅速かつ正確に同定するこで、診断と治療方法に必要な情報を得ることができ、また薬剤感受性検査の結果からも適切な抗菌薬治療を行うことができます。
3)広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
広域スペクトルの抗菌薬が 処方された退院患者数(分母) |
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日 までの間に細菌培養同定検査が 実施された患者数(分子) |
広域スペクトル抗菌薬使用時の 細菌培養実施率 |
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339人 | 119人 | 35.10% |
≪解説コメント≫
広域スペクトラム抗菌薬は、原因菌が特定できない場合や、複数の細菌に関与している可能性がある感染症に対し使用されます。ただし広域スペクトル抗菌薬を漠然と使用し続けると、菌が耐性を獲得し抗菌薬が効かなくなる場合もあります。
細菌培養検査を行い菌を特定し、その菌に対し効果的な抗菌薬を使用することで、菌を壊したり増殖を抑制することで治療効果が得られ、結果的にも耐性菌が生じにくくなります。
血液培養実施率を指標とすることで、適切な抗菌薬使用を目指す指標の一つとなっています。